多島美で知られるこの内海は、海上交通路として古くから歴史の舞台に登場した。その後も、海上交通路として、製塩業の地として、軍事基地として、漁場として重要な役割を果たしてきた。沿岸にはそれほど広い平野はないが、海上交通の利便性と、比較的豊富な中国山地からの用水のおかげで、造船、製鉄、自動車、機械などをはじめ、繊維、製紙、製油等の工業が集積し、一大工業地域を形成している。瀬戸内海の情景は、その穏やかで美しい 風光とともに、人々の生活の営みを色濃く反映している。